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ご相談から竣工まで

建築をつくるための建築設計には様々な用途(住宅・店舗・ホテル旅館・公共建築等)がありますが、ここでは身近な、皆さんの住む、暮らしの建築「住宅建築」を例に順を追いながら、ご説明させていただきます。

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1.ご相談

家(建築)を建てること、お店を建てること作ることは、誰しも人生の中で車を買うようにそうそう何回もあるものではありません。ほとんどの人が一生に一度、二度のあるかないかの大きな買い物になると思います。

まず始めるにあたり。ご家族で家(建築)づくりの夢の部分、希望要望を整理してみてください。箇条書きにすると分かりやすいです。その上でどこに依頼するのかを決めましょう。ハウスメーカー・工務店・建築家、家(建築)をつくる時に概ね三者に分類できます。

ハウスメーカーは毎日接待レベルの営業さんがお相手してくれます。消費者意識を満足させてくれるので、そういうのをお求めになる人は向いています。ただし工事費の流れは不透明で利益率は企業なので40%~50%と相当な額になります。数字としては表には出てきません。大きな工場、大きな仕入数で勝負できるので原価をどれだけ下げて利益を乗せられるかになります。40%~50%の中にはTVなど宣伝広告費、ショールーム建設維持費、社員人件費が含まれるので当然の仕組みになります。

 

□ 工務店は地域密着なので人望の厚い人。結局は人なので地元の評判がすべてになります。人を騙すことを考えている工務店は必然的に仕事がないです。一方、依頼主を思い誠実に活動している工務店はとにかく多忙です。自然の理です。工務店経費として各職人の施工原価に15~20%が乗っかります。そして設計が苦手な工務店はそこに外注先として設計事務所があり、基本設計・実施設計・確認申請業務をします。表に出られないことが多いので+設計費は工事費内に含まれます。工務店により設定はいろいろですが仮に+15%として20%+15%=35%。

建築家は設計監理が仕事になります。総合監修者でもあるので家(建築)にデザイン的な付加価値、使いやすさ、暮らしやすさ、様々な付加価値を独自の感性で加えます。よってご自身の価値観や感性に合う建築家を探してみてください。昨今は雑誌やネットの紹介サイトなど様々な選択肢はあります。それぞれ得意とされることがあるので、じっくり吟味され決められたら良いかと思います。設計料は個々で設定が違いますのでご確認ください。施工は工務店と組みます。+建築工事費(工務店経費として各職人の施工原価に15~20%が乗る、総合計のこと)

ご自身の価値観に合う三者の選び方があります。

建築設計事務所だけではありませんので、しっかり吟味されてお互いに間違いないようにしましょう。

2.打合せ(計画はじめ)

​初打ち合わせ(顔合わせ)の上で諸々の内容をお聞きして基本計画に入らせていただきます。

ご希望ご要望の中で工事金額のことを占める割合は大変大きいものと思われますが、我々の建築設計事務所では基本、ローコスト建築設計と工事はもう卒業しており、現在は申し訳ございませんが、ご辞退させていただいております。身の丈に合わない"予算ありません"のご相談については過去20年(2019年夏の時点)の経験から、結果的に現場の工務店や職人の工事費を安く叩くことに直結してしまい、時に赤字になることも多々ありました。赤字になっても施工責任がありますので請けた者が悪い。請負(うけおい)契約という名のままに"請けた者が負け"。これでは意味がありません。施主を騙して多く金額を取るなど我々の工事関係工務店、職人にはいません。過去にはそういう人はいましたが、現場監理上、退場していただき、今では誠実に依頼主(施主)に喜んでいただくために自分たちが極めた技を存分に振るう職人たちのみです。

我々が目指すのは「みんな良し」の適正価格です。

依頼主(施主)も設計も工務店も職人も建材店も世の中の環境も「みんな良し」の建築を目指します。

こんなことから夢先行の現実を見られていない身の丈に合わない"予算がありません"の問題には申し訳ありませんが我々の問題ではないため乗らないようにしています。身の丈に合う"適正価格"での節約のためのアイデアや工夫は皆の経験を活かし目指し、無駄のないようできる限りの努力はします。

おおよその建築工事費のお請けする最低基準の目安をここに記します。

概算金額として計画する建築の延床面積(施工床)坪単価(m2×0.3025=正確な坪数がでます)=100万円(設計費含む)で計算されると分かりやすいと思います。その中には我々の考える基本仕様(天然無垢材の床や一枚板の無垢材を使い制作する造作家具や内部建具、外部木製建具、左官壁、壁内断熱材t-100、屋根下断熱材t-200、1F床下断熱材t-100、石材、真鍮部品、造作キッチン、造作浴室、床暖房等、飛騨の椅子と机、造園など含む)を提案させていただきます。

3.現場調査(仮契約=有料)

​ここから有料となります。

初顔合わせの打ち合わせの後に具体的に計画を進めます。

□ 敷地と周辺環境の確認(道路位置、車や人の交通量、騒音、公園の有無)

□ 隣地との関係の確認(距離、窓の位置、隣地境界線の明記、塀の存在、庭の存在など)

□ 隣地の傾斜、高低差、前面道路の幅員及び法律指定、方位、水道、電気、ガスの引き込み、電柱の位置。

□ 都市計画法、建築基準法、その他関係条例(市の条例指定、風致地区など)

□ 改装計画の場合は既存建物の測量。

□ 計画土地(新築も改装計画も)の地相(地歴)の確認。

建築設計計画に必要な様々な情報をここで確認いたします。

敷地の法令上の規制や状況を正確に理解した上で設計に反映させます。この時点で基本、依頼主(施主)さん側で"敷地測量図"を用意していただくのですが、敷地測量図がない場合は測量士に依頼し作成(有料)していただきます。確認申請等、行政の申請業務で必須であることはもちろんなのですが、後々、近隣関係で問題が起こらないようにするためにも必要な図面となります。

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4.基本設計

​ここから具体的になります。

​暮らし方、朝起きて夜眠るまでの生活習慣、食事やキッチンのこと、洗面室まわりのお風呂のこと、寝室は日本式の布団、ベットなのか。収納の習慣、下足箱の位置や量、洋服の位置や量、車は所有しているか、自転車、バイクの所有の数、テレビはどうするのか、リビングの寛ぎ方、ペットはいるか、などなど。質問・会話を繰り返す中から依頼主(施主)さんがどんなことに関心を持ち、何を大切にされているかを確認いたします。

ヒアリング(打ち合わせ)後、4週間(その時の混み具合にもよりますが、基本ひと月)ほど、お時間をいただき現場調査の情報を元に家相と地相のバランスを取りながら具体的にデザイン計画案をまとめてゆきます。

□ 計画図面(平面図・断面図・必要図面等)

□ スケッチ(イメージ資料)

□ 模型提案(新築の場合と改装については必要に応じて)

私たちの建築事務所では(3.現場調査)(4.基本設計)の業務による建築提案は有料とさせていただいております。建築をゼロからイチにするこのデザイン業務が一番大きな仕事です。無料で提案する時代もありましたが、建築する意思も低い中、とりあえず提案が見たいと何社にも提案を依頼する中の一つの事務所になることもありました。結局後に連絡もないことも経験。無償でプロが提案をする。我々もそういう時代もありましたが、そして何よりその原因は依頼主(施主)ではなく安売り(デフレ化)した我々に責任があります。その大切な経験から建築家としての覚悟と依頼される施主としての覚悟の合意を元に進めることにしております。

300m2(90.75坪)未満の建築計画は一律:¥300,000(税別)

300m2(90.75坪)以上の建築計画は一律:¥500,000(税別)

住宅建築も店舗建築も、新築工事も改装工事も基本同じ内容です。

これらは基本設計料として本設計契約時には設計契約金額に含まれます。

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5.本設計契約締結

​基本設計の計画提案(プレゼンテーション)において依頼主(施主)さんの承認をいただきましたならば、正式な本設計契約となります。ここから具体的にどこのメーカーの何という部品や素材を使うのか、どれだけの面積の範囲、壁や床の具体的な素材、照明機器の品番、スイッチやコンセントの位置、給湯器の位置や品番、そして工事における下地の種類(金額が違うので)その他、様々な膨大な情報をまとめ工事金額の算出のための図面作成が「実施設計図書作成業務」となります。それと平行に行うのが申請業務(確認申請等)となります。

本設計契約におきまして誰が決めたのか不明ですが、世間一般的な工事費の○%という基準の設計料ではお請けしておりません。計画建築の大きさ、つまり面積。具体的な施工床面積により算出いたします。同じ大きさの建築をつくる時にかかる工事費の差は何かと言いますと、つかう素材の差です。並材と高級材と同じ面積を施工するにあたり価格差が生じてしまうのは当然の理です。そして建築設備機器においてもシンプルな機能の標準タイプとフルスペックな全自動のタイプと明らかな価格差があります。何をどう使うのか、計画する建築全体の総合計で同じ大きさに関わらず価格差が生まれるのは、このような理由からです。

設計監理費=施工床面積(m2×0.3025=坪)の ¥100,000/坪(税別)

​                        「最低設計監理費 = ¥500,000以上」

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設計監理費は一律、施工する床面積(坪数)に対する単価に設定させていただきます。

建築設計という仕事はローコスト建築・ハイコスト建築、どちらであっても業務内容は同じです。過去はローコスト建築が多かったため「安くすれば依頼主(施主)に喜ばれる」と思いこみ、できる限りの原価を下げる工夫(仕入先の開拓)をして工事関係者の御好意もあり続けて来ましたが、ローコスト建築を望む人(全員ではありません)の満足を得ることができませんでした。我々の力不足なのか、2017年秋からの時間をいただき分析しました

誰しも安く工事ができるのは嬉しいものです。ですがローコスト建築を望む人の中に(全員ではありません)身の丈に合わない人もおられました。でも夢(家やお店)は実現したいという大きな矛盾に気づかれていないことも。その人の生き方、考え方、在り方、捉え方がその人そのものです。問題にもならないことも捉え方によっては、お互いの不幸に繋がります。

よって設計監理費は一律、施工する床面積(坪数)に対する単価に設定させていただきました。一律にさせていただくことで、ハイコスト建築だと割安に感じます。ですが一方、ローコスト建築だと割高に感じます。なのでバランスを取り我々の考える標準仕様の中で、できる限りの工夫と皆の努力でともに目標に向かって金額を抑えてゆく。この道を歩むことを決めました。

6.実施設計図書(契約図書)作成業務

本設計契約後、約2ヶ月から6ヶ月(規模によります)の間、数回の打ち合わせを重ね、議事録を作成しながら詳細事項や建築設備の品番(メーカー)の決定。仕上げ材料の種類・色彩など、様々な決定事項を一つ一つ確定してゆきます。ここで各詳細部分の技術的な納まり等の検討も行い図面に反映させ、一冊の実施設計図書としてまとめあげます。この実施設計図書を元に建築工事金額の算出を行うために施工会社(工務店)に依頼します。

7.確認申請業務(その他、許認可業務)

実施設計図書作成と平行に関連行政に対する許認可業務、確認申請業務とその他関連申請業務を行います。

日本では戦後の昭和25年(1950年)に建築基準法が制定されました。この年より規定以上の建築をつくる行為を行う場合、建築主(施主)は申請書により建築確認を受けて、確認済証の交付を受けなければ建築することができません。

建築基準法第6条・建築物の建築等に関する申請及び確認

 

建築基準法は建物の用途、構造、設備について最低限の基準を定め、その遵守を国民に義務付けており違反すると懲役・罰金など課せられます。場合によっては行政代執行により竣工後の建物でも取り壊すことも可能です。

もっとも、この法律は建物を安全につくることによって人命や財産を守るとともに衛生で快適な住環境を維持することを目的としています。具体的には実施設計図書(法的に必要な図面のみ)と申請書を揃えて管轄の行政に申請して適合が確認されれば、21日以内に確認済証が交付されます。これで晴れて国のお墨付きの工事が着工できることになります。

建築が竣工(完成)したならば、工事が完了した日から4日以内に行政の建築主事及び指定確認検査機関へ完了検査申請書を提出しなければなりません。完了検査の「検査済証」が交付されて、工務店による工事引き渡しを経て、建物の登記を行い、晴れて自分所有の建築になります。

建築工事金額を借り入れされる場合は、工事着工前の「確認済証」と工事完了の「検査済証」が無ければ、借り入れできない場合がございます。詳しくは借り入れされる銀行とご相談ください。

8.工事見積書(変更修正及び調整)

まとめた実施設計図書を元に施工会社(工務店)へ見積もり依頼を出した数週間後、建築工事見積金額が明記された「建築工事見積書」が提出されます。予定予算内なのか、予定予算を越えているのか。そこから予定予算との調整作業が始まります。予定予算内であれば問題ないのですが、予定予算を越えていた場合、材料仕様のグレードを下げたり取り止めにしたり、設計変更となります。

様々な角度によりベストの調整案(計画変更・デザイン変更・仕様変更)つくり最終見積書を作成します。そして依頼主(施主)と施工会社(工務店)と設計事務所の三者合意の「工事請負契約」へと進みます。

9.工事請負契約締結

調整案で三者合意が成ったならば「工事請負契約」となります。これ以降の変更は基本ないようにしましょう。もちろん変更は不可能ではありませんが、工事請負契約書の別途工事(金額)となります。そして工事工程も変化しますので工事請負契約書に明記している日程より延びることになります。その旨をご理解いただき、合意いただいた場合は変更は可能です。そうならないように実施設計時に綿密な打ち合わせと決定をする方がお互いにとっても良いはずですので、できる限り「工事請負契約」以降の変更はないようにしましょう。

10.地鎮祭(工事着工前)

「工事請負契約」が完了しましたならば次に取り掛かるのが土地の神様へのご挨拶の「地鎮祭」です。目に見える世界だけを信じる傾向の現代において、お正月の「初詣」子供が生まれた数年の「七五三詣」お盆の「お墓まいり」そして建築工事を始める前の「地鎮祭」だけは残っています。自然に受け継いでるこれら"気持ち"はとても大切で、できればイベント的なポイントだけではなく。日々の暮らしの中でも「有り難い」という"気持ち"を持ち続けることがより大切なことですね。

昔から普請(建築工事)をすると家族の誰かが不幸を迎える(お亡くなりになる)と言われています。これは目に見えない世界の影響が、そう言い伝えられて現代でも田舎に行くほどよく聞きます。普請(建築工事)をすることで不幸になってもらっては困ります。みんな幸せになることを目指したいですね。

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11.施工(工事着工)

準備が整いましたら!いよいよ着工です。

地鎮祭と同時に近隣へのご挨拶も平行に行います。

工事自体は「工事請負契約」を締結しました施工会社(工務店)が行います。設計事務所は現場監理が業務になりますので工事自体は行いません。契約図書通りに現場を進行するように施工会社(工務店)の現場監督と情報を共有しながら共に竣工(完成)を目指します。

新築工事の場合、土地の整地から始まります。既存建物がある場合は解体工事、整地となります。改装工事の場合も解体工事に入ります。事前に残すもの、廃棄するものをマーキングするか打ち合わせにより確認する必要があります。

地鎮祭、整地が完了しましたならば、建物本体の工事に入ります。構造計算による構造設計を終えた基礎図面を元に建物が傾いたり沈んだりしないように基礎工事を行います。コンクリートを打設する(流し込む)前に必要な設備関係の配管工事を済ませます。

 

そして基礎の完成(コンクリートが乾き最大強度に達するまで4週間)後に躯体工事(骨組み)に取り掛かります。縁起の良い日を選び、家族の繁栄、工事の無事を祈り工事関係者を労う棟上げ式を行います。建前(たてまえ)建舞(たちまい)棟上(むねあげ)など地方によっていろいろ呼び方があります。

 

躯体工事が終わりましたら全貌が見え、設備配管工事(電気やエアコン、給排水設備)断熱工事へ進み、仕上げ工事の下地を設置して最終の仕上げ工事へ。造作家具や木製建具工事も仕上げ工事時に様々な職種が交錯する中、現場監督のスケジュール管理の元に進みます。​

01.解体整地工事

02.地鎮祭

03.地縄張り・水盛・遣り方・仮設工事

04.基礎工事

05.給排水衛生設備工事(配管敷設、基礎内)

06.木工事(建前・棟上式)<行政の中間検査>

​07.断熱工事

08.屋根工事

09.木工事(内部造作)

10.給排水衛生設備工事(基礎上、壁内)

11.電気及び空調、弱電設備工事

12.造作家具工事

13.木製建具工事

14.畳工事

15.左官工事(内壁仕上)

16.塗装工事

17.照明器具設置工事

18.給排水設備機器設置工事

19.外構工事

20.竣工!施主及び設計事務所検査

21.駄目工事(修正手直し)

22.工事完了検査<行政の完了検査>

23.検査合格後「完了済証」発行の上、引き渡し

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12.竣工(引き渡し)

これで、ほぼ完成ですが最後に依頼主(施主)と設計事務所の検査の時の項目を元にする「駄目工事」というのがあります。修正等を済ませて工事も晴れて終わり!最終清算を契約書に基づいて行い、追加事項などがあればそちらも清算してお仕舞いとなります。施工会社(工務店)から鍵と各書類を受け取り「引き渡し」となります。ここで改めて依頼主(施主)さんの所有になりますので、設計業務もこれにて完了です。

海香の宿 波華楼(旅館改装及び住宅新築工事)→​  namihanarou.jp

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